・その2 主題歌など
●主題歌
オープニング「ドラえもん」 作詞:藤子不二雄、歌:内藤はるみ、劇団NLT
藤子・F・不二雄先生の作詞で、新ドラの「ぼくドラえもん」のような奇妙奇天烈な歌詞。
新ドラの主題歌とは正反対の変な演歌っぽくて謎な曲調です。必聴!だっけーどドラえもん、いい男〜♪
初期のドラえもんの世界を忠実に表している気もします。越部信義氏の代表曲は、「みんなのうた」
の「おもちゃのチャチャチャ」や「ひらけ!ポンキッキ」の「はたらくくるま」などの童謡を始め、アニメでは
「マッハGOGOGO」「みなしごハッチ」などのタツノコ作品を主に。藤子アニメでは旧作パーマンの
主題歌「ぼくらのパーマン」(作詞:藤子先生 歌:三輪勝恵、石川進)を作曲してます。ちなみに新ドラでは
音楽は「仮面ライダー」「タイガーマスク」「暴れん坊将軍」の菊池俊輔氏が担当しました。越部氏作曲の
アニメソングではサビのメロディやコーラスの入り方などが「ジェッターマルス」(77年東映動画、原案:手塚治虫)の
主題歌「マルス2015年」(歌:スチーブン・トート、こおろぎ'73)」に良く似ています。雰囲気はかなり違いますけど(笑)
前奏はディープパープルの「BLACK NIGHT」が元ネタ、合いの手は花笠音頭と、何とも国際的な歌。
挿入歌の「あいしゅうのドラえもん」「ドラえもんいんできしいらんど」は残念ながら未CD化。
エンディング「ドラえもんルンバ」作詞:横山陽一、歌:内藤はるみ 以上、作曲:越部信義
凄まじい歌詞が連続する強烈な歌。一般ウケはこっちの方が良いでしょう。
「コンピューターが友達さ」は「愛と勇気だけが友達さ」のアンパンマンより寂しい気がする。
謎の歌手・内藤はるみさんは「THEアニメソング ヒットはこうして作られた」(99年・木村英俊著)によれば
「日清ちびっこのどじまん」で堀江美都子さんらと同時期に入賞したとチラッと書いてありました。
曲の感じは同じ越部氏のジムボタン(74年エイケン)のOP「ジムボタンの歌(歌:堀江美都子、こおろぎ'73)」に少し似て
います。曲名は放映時のレコードでは「ドラえもんのルンバ」ですが、78年の「続・テレビまんが主題歌のあゆみ」で
「の」が抜けて「ドラえもんルンバ」に変わっています。発売時そのままがウリの「昭和キッズTVシングルス Vol.8」
でも何故か「ドラえもんルンバ」のまま。ただし、JASRACには「ドラえもんのルンバ」で登録されています。どうなってんの?
機種によっては、これらの曲はイヤホンを少し抜くとボーカルが薄くなって聞こえます。
旧ドラの主題歌は、今までにアニメ全集系のCDにしか収録されていません。
これがもしもコロムビア以外のマイナー会社だったら本当に幻の作品になっていたでしょうね。
「続・テレビまんが主題歌のあゆみ」(87年6月、2枚組5,880円):「ドラえもん」収録
「続・テレビまんが懐かしのB面コレクション」(92年10月、2枚組5,097円):「ドラえもんルンバ」収録
「続・あゆみ」にはカバトットからテッカマンまでの49番組のOP(違うのもあるけど)を収録。「B面コレクション」は
「あゆみ」シリーズからかなり遅れてCD化。「続・あゆみ」同様、こちらはEDだけ(?)を収録しています。40ページの
オールカラー解説書には、レコードの図版と放映データも掲載。元のLP版では放映データは載っていなかったようです。
この2シリーズの欠点は、OPとEDを聞くには一万円近くかけなければいけないし、OPとEDが同じ番組以外は
挿入歌は無し、「続々々」までは初代の歌しか入っていない事。両方聞くには一々CDを入れ替えなければなりません。
「続・テレビまんが主題歌のあゆみ」の方はレンタル屋にかなりの確率で有ります。
「新定番テレビアニメスーパーヒストリーVol.8」(98年10月、2,100円):両方とも収録
これが一番手ごろ。歌詞カードは安っぽくなります。けろっこデメタン、山ねずみロッキーチャック、ジャングル黒べえ、
ドラえもん、ミクロイドS、新造人間キャシャーン、ミラクル少女リミットちゃん、それぞれのOPとEDを収録。
作曲の越部信義氏、三沢郷氏、菊池俊輔氏、歌の堀江美都子さん、大杉久美子さんの番組がそれぞれ
2つずつあるので聞き比べる事も出来ます。買った当時は、旧ドラも含めて知らないアニメばかりでしたが、
何度も聞いて馴染みました。現在でもCD店で注文すれば入手が可能なはずです。
ジャケットのイラストは新ドラの物ですが、歌詞カードの裏表紙にも帯にも載っていて目立ち過ぎ。
「昭和キッズTVシングルス Vol.8」(03年5月、2枚組3,675円):両方とも収録
内藤はるみさんが歌う、73年の「母の曲」というドラマの主題歌「光りがこぼれる街で」「悲しみに抱かれて」が
初CD化。SP盤ジャケットの写真が極小で掲載、微妙な解説付き。歌詞の表記が少々違います。
この他はスーパーヒストリーを持っていれば特に買う必要は無いかも。カラオケは、OPだけ
JOYSOUND、DAM、Σシステム、mac21にあります(劇団NLT役も必要だし、歌う機会は限られそう)。
着メロは今では両方とも存在し、エキサイト・着メロなら「ドラえもんルンバ」のオルゴール・バージョンなんて物も(笑)
●楽譜
「TVマンガ大百科」(全音楽譜出版社)に載っている主題歌の楽譜をharaqさんから
提供して頂きました。クリックすると拡大されます。時代を感じさせる表紙ですね。
元の歌を聴いていない人はまだ見ない方が良いかも。
●関わった人たち
・富田耕生さん(ドラえもん・初代)
↓「とり・みきの映画吹替王」(とり・みき著、2004年8月21日発売)より
「東映アニメの博士たちと元祖ドラえもん」
とり:アニメのお話も伺いたいんですが、(デビュー作の鉄人28号や、
平成天才バカボンで雨森氏の後を継いでバカボンのパパ役をやった事、略)
富田:でも局が変わったらまた違う人がやったりして、ああいうのも困ったもんだね。
とり:あと、実は最初の日テレ版の「ドラえもん」は富田さんだったんですよ。
富田:ずいぶん古いの持ち出してきたねえ(笑)。そうなんだよ、俺、13本やったんだ。なんか俺が怪我して
野沢雅子に代わったという伝説があるらしいんだけど、まあその方がいいでしょ?(笑)ただ安孫子先生が
もしかしたらなぐさめかも知れないけど「あの時期に『ドラえもん』は早すぎた」っておっしゃってたけど、
俺が1クールやって次に野沢が1クールやったけど、その後ちょっとやらなかったんだよね。
それで局が変わって今のペコ(大山のぶ代)のシリーズになってからは、ご存知の通りで。
〜初代ドラえもんの富田耕生さんの登場!藤子A先生の言葉も。ここでは富田さん自ら交通事故の
噂を否定しています。「バカボン」は最初辛かったけど、今は引き受けて良かったと思っているそうです。
動物系と親父系が多く、動物ものでは「ムーミン」のスニフ(カンガルー?)、「魔法使いチャッピー」のドンちゃん(パンダらしい)、
「星の子チョビン」のクマんどん、ドラえもんなど。親父ものでは役名だけ並べると大塚署長、ヒゲオヤジ、岩城校長、ドクター・ヘル、
団兵衛、大江戸博士、ギルモア博士、早乙女博士、四谷博士、風見博士、おっちゃん、唐山陶人、バカボンのパパ(平成版のみ)など。
両方を併せ持つキャラは「名探偵ホームズ」のワトソン(次回予告も担当)。動物系と親父系では声の感じが違っています。
最近のレギュラー出演作品では「アストロボーイ・鉄腕アトム」があります。映画「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」にもポセイドン役で
出演。富田さんが歌う挿入歌「あいしゅうのドラえもん」は未CD化ですが、「魔法使いチャッピー」(72年東映)ED「ドンちゃんのうた」で
歌声が聴けます。mvunitさんによると、クマんどん(人柄の変わった後期の方)やスニフが割とドラえもんの声に近いらしいです。
「ドンちゃんのうた」収録CD:テレビアニメスーパーヒストリーVOL.6、TVサイズ!テレビまんが主題歌のあゆみ1、TVサイズ!
スーパーヒロイン主題歌集、魔女っ子大作戦 スペシャル・ソング・コレクション、昭和キッズTVシングルVOL.5など。
旧オバQ→新オバQでQ太郎が曽我町子さんから堀絢子さんに代わったのも、一応「イメージを一新するため」だった事になって
いますが、曽我さんの「交通事故」も理由の一つだそうです。(読売新聞・東京版 昭和46年8月17日、大阪版7月31日)
・野沢雅子さん(ドラえもん・2代目)
↓「ボクは、声優」(野沢雅子・著、95年)より
「替わるつらさ、替わられるつらさ」
(ゲゲゲの鬼太郎・第3作の鬼太郎役が戸田恵子さんになったこと、略)
「怪物くん」は私の前に白石冬実さんがやっていらっしゃいましたが、放送局も違うので
改めてオーディションがありました。結局、私がオーディションに受かったのですが、
すぐにチャコ(白石冬実さんの愛称)とあって話をしました。旧作のときもゲストで
出ているし、「ドラえもん」の時、自分も同じようにショックを受けたことが
あったので、断らなければいけないと思ったんです。
(中略、白石さんは怪物くんに大変思い入れがあり、藤子先生にもう一度させて下さいと手紙まで出したそうです)
私は替えられてしまったこともあるし、替わって引き受けたこともあります。
どちらも気持ち的にはつらいものがありますね。
〜ドラゴンボールの悟空、999の星野鉄郎、ゲゲゲの鬼太郎などでおなじみの野沢雅子さん。
演じたのは短い間なのに、野沢さんはドラえもんには相当の思い入れがあったようですね。
野沢さんは76年頃のアーモンドグリコのCMと、80年頃のキングレコードの新ドラ「ドラえもんのうた」
「ドラえもん音頭」カヴァーバージョンでもドラえもんの声を担当しています(二曲ともCD化)。
旧ドラと同時期には「ど根性ガエル」のひろし、「ワンサくん」の幸太、「ミクロイドS」の学とどれも少年役。
藤子アニメでは白黒版オバQの伸一、怪物くん(新)の怪物くん、映画「ドラえもん・のび太とロボット王国」の
クルリンパなど。ちなみに、富田さん、野沢さん、太田さんは同い年です。
旧ドラえもんの後は「ドロロンえん魔くん」(73年10月4日〜翌年3月、フジテレビ)へ。
・小原乃梨子さん(のび太のママ)
↓「テレビ・アニメ最前線」(石黒昇・小原乃梨子著、80年・大和書房)より
この今をときめく『ドラえもん』も、昭和四十八年には、既に日本テレビでアニメ化され、日本テレビで
アニメ化されている。この時は、なぜかあまり評判にならずに終わってしまったが、それを思うと、
現在のこの爆発的人気が不思議な気がする。何でもオナカのポケットから出してくれる、未来の
猫型ロボットのドラえもんも、あの時だけは思い通りにならなかったようだ。
この時のドラえもんの声は、富田耕生さん、そして十四話から野沢雅子さんに変わっている。私はこの時、
のび太くんのママ、現在のシリーズではのび太をやっているのだから、母親から息子へ突然若返ったわけだ。
これだから、声の仕事は面白い。どうやら世の中の常識や年齢に逆らって生きるのが私の運命のようだ。
(『ワンサくん』と『冒険コロボックル』の章とテレビ朝日版「ドラえもん」の章で日本テレビ版
ドラえもんについて触れていますが、一部内容が重なるので混ぜて編集しました。)
〜小原さんはぼくドラ12号のインタビューでもこの事について触れられていました。
同時期には「ワンサくん」でワンサ、「ど根性ガエル」でひろしの母を演じています。千々松幸子さんは
ど根性ガエルではピョン吉、新ドラではのび太のママで、こっちも親子関係(?)が逆転しています。
・肝付兼太さん(ジャイアン)
↓enban.netのネットラジオの声優と語る番組(2002年10月頃公開)より
たてかべ:ここで一つねえ、ジャイアン秘話。これはたぶん知ってる人もいると思うね。
実は初代のジャイアンは誰だったかって話だね。このドラえもんっていうのは前から
やってるから。モノクロの時からね。じゃあ初代誰がジャイアンやっていたのか、
実はですねえ、私の目の前にいるこの方でえす!
司会:え!そうなんですか!?
肝付:いや僕もね知らなかったんだ。やったんです。最初あれはね日本テレビで、
モノクロで。そんときに僕がジャイアンをやってたんです。それを、覚えてないんだ。
ネットでね,詳しいファンの人がもう当時の事をこうねえ。それ見るとタイトルまで
書いてあって、配役が全部書いてある。と確かにジャイアンなんです。僕が。
しかし不思議なことがあるもんだと思ってねえ。元祖ジャイアンだもん。どうも。
あれ24本だからね、こっちは24年!すごいやこれ!参っちゃうなあもう。
〜あっちゃー。すっかり忘れてしまったそうです。現スネ夫役の肝付さんと現ジャイアン役のたてかべ和也さんと
あと司会役(失念)のネットラジオです。肝付さんが見たサイトは「ドラちゃんのおへや」?肝付さんは藤子アニメでは
71年9月〜72年12月「新・オバケのQ太郎」のゴジラと、73年3月〜9月の「ジャングル黒べえ」黒べえで出演。
黒べえの方はちゃんと覚えているようです。サイトも保存したファイルもPCごと残っていないので、詳細が分からなく
なってしまいました。この時、「来年のドラえもんの映画はパーマンを一緒にやるらしい」という話が出ていました。
ここで紹介した意外の配役は、のび太:太田淑子(新ドラのセワシ役)、静香:恵比寿まさ子(同時期の
「ジャングル黒べえ」でたかね役)、スネ夫:八代駿(くまのプーさん、トムとジェリーのトム)ほか。
・平山隆さん
↓北海道新聞・00年3月25日「ドラえもん30周年」(併結特急さん提供)より
73年、最初のアニメ化で放送局に説明にいくと「土左衛門?」と聞き返されたが、
すでに小学二、三年生でドラえもんを知らない子はいなかった。ポケットモンスターと同様、
大人の知らない間にひたひたと人気が出て、子供だけのブームになっていたんです。
ドラえもんルーム室長の平山隆さんの回想。「ドザエモン?」と聞き返されるとは、
今ではとても考えられない事ですね。当時は藤子先生の担当だったそうです。記事全文
●その他
・松江宝氏(視聴者)
↓映画秘宝Vol.5 夕焼けTV番長(洋泉社・96年)より
トラウマ最終回アワー「ドラえもん」初代ドラは体育会系だった
“困ったときのドラ頼み” 例えば進退極まった時、この言葉が脳裏をよぎる奴が
いったい何人いるというのか?今から二十三年前(73年)の日曜夜七時、4チャン
(NTV)に登場した「ドラえもん」は大して話題にもならずに放映を終了した。裏番組はあの
「マジンガーZ]だ。人気がいまいちだったとしても無理のない話だ。(主題歌の紹介、略)
この初代ドラは実に男くさい奴だった。ついでに声も男だった。(中略)で、そのノリは徹底的に
体育会系。「のび太の未来を変えるため」というより「のび太自身を変えるため」にやってきた
感のある彼は、常にのび太に対して叱咤激浪を繰り返す。だから娯楽のためにポケットを開ける
ような事はまずしなかった。せいぜい移動の際にヘリトンボ(今のタケコプター)を使うぐらいだ。
そんな男気あふれる初代「ドラえもん」、最終回はこんな話だった。突然、未来の世界へ帰ることになったドラえもん。
だが彼はのび太のことが気がかりで仕方ない。そこでのび太は彼と一つの約束を交わす。今まで乗る事が出来ずにいた自転車を
自力で乗れるようになってみせるというのだ。それでドラえもんは未来へ帰ってしまう。残るのび太は傷だらけになりながらも約束通り
自転車を乗りこなすようになる。土手の上で風を切るのび太をタイムテレビで見守りながら感動の涙を流すドラえもん――。
こうして初代ドラはその短い物語の幕を閉じた。(中略)夢の代わりに気合いを入れる。俺のドラえもん観といったらこんな感じだね。
〜旧ドラえもんを実際に見た松江宝氏の一ページの記事で、最終回の記憶が書いてあります。松江氏は、65年大晦日生まれ、
藤子生活二十五年で現在(96年当時)もキテレツに激しい闘志を燃やしているとか。今からはちょっと想像しにくいドラえもん像!
テレビ朝日版については、「今のドラえもんの方が正直面白いと思うけど、例の歌を聞いた時、えらく違和感を感じたのは俺だけ
じゃないハズだ。(一部要約)」と書いてます。このコーナーでは他のライターで「サンダーマスク」「ザンボット3」「レインボー
マン」などが紹介されてました。まだおおはたさんの「ドラちゃんのおへや」も無かった頃です(旧ドラ大研究の公開は98年)。
・うしおそうじ氏
↓電人ザボーガー第1巻(02年・角川書店)阿久津信道×うしおそうじ×一峰大二 スペシャル鼎談より
そういう話はいっぱいありましてね。「ドラえもん」、あれも最初にうちに声がかかったんですよ。藤子不二雄の
ご両人がうちへ来てね、実写でやろうということで、着ぐるみの雛型まで作ったんだけど・・・。声はね、昔、
うちで制作した「ハリスの旋風」で国松をやってくれた大山のぶ代さんを僕は推したんだ。この間、安孫子くんに
会ったとき、その話をしたら「そういえばそんなことありましたねえ」と言ってたけどね。まあ、これは余談。
ピープロの元社長、うしおそうじさんの回想。日テレ版以前に着ぐるみで実写化の企画があったとは!
しかも大山のぶ代さんで。ピープロはアニメでは、「0戦はやと」「ハリスの旋風」「ドンキッコ」「ちびっ子
怪獣ヤダモン」、特撮では「マグマ大使」「スペクトルマン」「怪傑ライオン丸」などを制作しています。
藤子漫画で実写といえば、東映制作の忍者ハットリくんが有名。
実写ハットリくん参考サイト:ハットリくん第一作 ジッポウ編DVD
●オマケ
このフレーズは・・・・!!